設立の趣旨と沿革
「機械式計算機」は日本では1903(明治36))年の矢頭氏の発明が嚆矢とされ、欧米においては1892(M25)年頃に商品化されました。以後、産業の発展と共にその性能を高めて行き「計算」のあるところに「計算機」ありでした。
1964(S39)年頃、それまでの機械式計算機より性能や価格、便利さが格段に優れた電子式卓上計算機(電卓)が登場。それにより機械式計算機は社会から駆逐され、急速に消えて行きました。しかし、機械式計算機はその時代時代の精密機械工作や製造技術の集成であり、現代ではまさに産業文化遺産とされるものです。
この様に極めて短期間にその存在を「電卓」に取って代わられ、机上から姿を消した機械式計算機。今ではその存在を知る方々も高齢化し、その姿は一部の博物館・資料館やテレビドラマ等の背景の一部にチラリと映る程度です。
また博物館や資料館の展示につきましても、計算機に関する正確で適切な説明を欠いていたり、立派な昭和10年代の展示コーナーに、昭和30年代に製造された計算機が展示されていたこともありました。
当会は、電子工学やコンピュータの急速な発展以前の時期に、研究・産業に大きな役割を果たした機械式計算機について、産業文化遺産としてその破棄の防止と適切な保存と調査・研究を行う任意団体として、2000(H12)年7月に「機械式計算機の会」を発足させました。
その後 2004(H16)年6月には、事務局長の渡辺祐三が、東京理科大学生涯学習センターの講座で「日本の機械式計算機の歴史と手動式計算機の構造」の題目で講演を行いました。
現在は「計算の原点」という観点から、急速に発展したコンピュータ(大型スーパーコンピュータからパソコン、携帯電話を含む)を利用した、「情報処理」の基礎講座に「機械式計算機」を取り上げる大学も多く見られるようになり、その講義に使用する教材及び標本としての、機械式計算機の入手や貸し出しにも協力して参りました。
また 各地の博物館や資料館での展示や体験用計算機について、貸し出しや整備等の協力を行ってきました。
特定非営利活動法人(NPO)として認証
機械式計算機の研究・保存のため、各方面からの資料の入手などの「取材活動」を行うにあたり、「機械式計算機の会」が任意団体のため、時として協力を得られない場合がありました。また、活動のためには多くの会員の参加と組織の整備が必須のことと感じられました。
また、機械式計算機自体を広く世間に知って貰うためにも、法人格を持っていることが必要と感じられ、定款等を整備して認証を申請し、2005(H17)年2月、特定非営利活動法人(NPO)として認証されました。
この10年間「機械式計算機」の保存・展示されている博物館などの情報をお知らせしたり、機械式計算機の技術、機構などの「ハード」面のみならず、どのような時代背景のの元に、どのように使用されて来たかの「ソフト」面についても、調査研究し会報に発表してきました。
NPOとしての事業活動の重要な部分を占める会報は「隔月発行」を守って発行し、初期段階では閲覧はオープンでしたが、その後は会員限定となりました。
情報の宝庫としてのWeb上で発表されている日本の計算機のデータの誤りに対し、その訂正の申し入れを行ったことが契機となり、Rechenmaschinen-Illustratedのサイト(英文、別ページで開きます)に日本の計算機を正確に紹介して貰っています。
事業活動として、大阪大学総合学術博物館のリニューアルオープンに際して、工学部から依頼により、機械式計算機関係の展示品の選定や修復作業を行いました。また、各地の資料館や団体に「体験用計算機」や「構造見本機」を寄贈してきました。
特定非営利活動法人「機械式計算機の会」の解散
会の事業活動・運営管理全般を行っていた専務理事の渡辺祐三が、体調不良のため辞意を表明。後任を得られずNPOとしての事業活動と運営が困難となりました。そのため、2010(H22)年5月、臨時総会にて会員の90%の承認を得、「総会決議」を以てNPO法人としての機械式計算機の会は解散いたしました。
任意団体「機械式計算機の会」の再発足
任意団体およびNPO法人としての「機械式計算機の会」の10年間で「機械式計算機」を愛される方々、「メカ」好きな方々、「計算」を研究される方々等とめぐり合えたことは、かけがえの無い事でありました。
また、これまでの活動により各方面で「機械式計算機」への認識が(少しづつではありますが)深まり、NPO法人としての「肩書き」が無くても、各方面からの協力が得られる様になってきたと感じてきました。それにより「肩の力」を抜いた「緩やかな」会則で、任意団体としての「機械式計算機の会」を、2010(H22)年11月に再発足いたしました。
これからは「機械式計算機」の好きな方、「メカ」に興味を持つ方、「旧きもの」に愛着を持っておられる方々のサークルとして、楽しんで行こうと考えております。 また、これまでの会員の方々には多趣味(鉄道、航空機、自動車、切手、ワインetc.)な方も多かったので、機械式計算機に限らず、会報等で交流の場を持ち、楽しい趣味の世界を広げることも出来ると思っております。
会員としてのご参加をお願い致します
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