日本最古の機械式計算機とされている「矢頭良一のアリスモメトール」に関する情報をまとめてみました。
国立科学博物館「技術の系統化調査報告」
『矢頭良一の機械式卓上計算機「自働算盤」に関する調査報告』
http://sts.kahaku.go.jp/diversity/document/system/pdf/019.pdf
日本機械学会「機械遺産」
『自働算盤(機械式卓上計算機)パテント・ヤズ・アリスモメトール』
https://www.jsme.or.jp/kikaiisan/data/no_030.html
情報処理学会「情報処理技術遺産」
『自動算盤』
http://museum.ipsj.or.jp/guide/pdf/magazine/IPSJ-MGN510417.pdf
『計算機歴史物語』内山昭著、岩波書店刊
著者の内山昭氏は1929(S4)年生まれで、東京理科大学を卒業後、IBMに勤務しながらコンピュータ以前の計算道具の研究を続け、1983(S58)年にこの「計算機歴史物語」を上梓されました。
内容はタイトルの通り計算とその道具の歴史の本ですが、書かれているのは機械式計算機の時代までで、昨今の計算機械の歴史書と異なり、コンピュータについては触れられていません。
本書でいちばんの見所は、日本最古の機械式計算機「矢頭良一のアリスモメトール」の実物を、長年の調査の末に見つけ出した、最終章の「国産最初の計算機」でしょう。
その他にもネピアやパスカリーヌ、算木等は紹介だけにとどまらず、構造や計算方法などが図版を使ってわかりやすく説明されていますので、ご一読をおすすめします。
書籍は絶版となっていますが、古書でしたらAmazon.co.jpで安価に入手できますし、図書館に収蔵されている確率も高いと思います。もちろん当方も持っていますので、会員の方にはお貸し出しも可能です。
『小倉日記』森鷗外著、筑摩書房刊(森鴎外全集13)
明治の文豪、森鷗外が軍医部長として小倉の陸軍第12師団に赴任していた当時の日記をまとめたものです。この中に鴎外が矢頭良一に会ったという記述があり『計算機歴史物語』の内山昭はそれをきっかけに「アリスモメトール」を見つけ出す事になりました。
こちらも絶版です。しかし本書は著作権が切れていますので、無料で読める「青空文庫」にあると思いましたがありませんでした。「日記」だからでしょうか。永井荷風の「断腸亭日記」はあるのですが・・・Amazon.co.jpの古書も出品数が少ないため安くはありません。わたしは公立の図書館で借りて読みました。
北九州市立文学館
こちらに矢頭良一の自働算盤(アリスモメトール)が展示されています。
www.kitakyushucity-bungakukan.jp(北九州市立文学館/矢頭良一)
また、小倉北区にある森鴎外の旧居には、鴎外が30歳で早世した矢頭良一の父に贈った「天馬行空」の書幅が展示されています。
www.kitakyushucity-bungakukan.jp(北九州市立文学館/森鴎外/天馬行空)
福岡県豊前市のサイト
矢頭良一は豊前国上毛郡皆毛村に生まれました。現在は福岡県豊前市となっており、市のホームページで矢頭良一が紹介されています。
www.city.buzen.lg.jp(福岡県豊前市/矢頭良一)
週刊金曜日 2015/10/9号
「森鷗外が見初めた「飛行機開発の祖」矢頭良一の若き波乱の生涯」
週刊誌の週刊金曜日に、矢頭良一の生涯を紹介する記事が、見開きページで掲載されていました。図書館等を探せばあるかもしれません。会員の方にはお貸し出しも可能です。
私もこの計算機を知ったのは、内山昭さんの本を読んだからでした。
この本は、手元にあります。