横浜の平田様よりFRIDEN(フリーデン)の計算機が当会に寄託されました。
以前にお知り合いの方から譲っていただいた物だそうです。どの程度の価値がある物でしょうかと、お問い合わせをいただきましたので「外国製の機械式計算機に興味のある方は非常に限られていると思いますが、インターネット上のオークション(ヤフオク)なら、ある意味で客観的な評価≒価格になるのではないでしょうか」とお答えしたところ。
『ヤフオクを薦めていただきましたが、相手方のお顔が見えない上、どのような目的で落札されたのかもわからない不安があります。私としましては譲っていただいた方の機械式計算機に対する思いを大切にし、同じように趣味にしていらっしゃる方にお譲りしたいと思います。この機械式計算機を大切ににしていただける方に嫁入りできればと望んでいます』
と、機械式計算機好きには涙の出る様なご返事をいただき、当会でお預かりする事になりました。博物館や資料館への寄託を勧めませんでしたのは、展示も研究もされずに「死蔵」される可能性が高いと判断したためです。
取り急ぎネットで調べましたところ、FRIDEN社で1936年から1952年まで製造されていたModel Hという機種の様です。時代的には1937(S12)年に始まった日中戦争から1950(S25)年に始まった朝鮮戦争あたりまでですね。
17年という長い期間に製造されていた割に、ネットでの情報は少なく、見つかるのは電動のタイプがほとんどです。アメリカでは機械式計算機の電動化が早く、同社でも1940年には電動のモデルが製品化されていた様です。
1940年というと太平洋戦争の始まった昭和16年の前年で、こうした電動の計算機が日本に入ってきたのは、終戦後に進駐軍が持ち込んだ物からだそうです。
わたしの所有する機械式計算機はタイガーとブルンスビガの物ばかりで、FRIDENの様な段付歯車方式の機械を手にするのがはじめてですので、使い方を知りません。
そのため現在はこの機械が正常に動く=計算できるのかも分かりませんので、これから使い方等を調べて行こうと思っています。もし、ご存知の方がいらっしゃりましたらご教授ください。
なお、この機械の調査や研究を希望される会員の方には、貸し出し等いたしますので、その際はお申し出ください。
●FRIDEN(フリーデン)
フリーデン社(Friden Calculating Machine Company)は、1934(S9)年にアメリカで創業しました。創業者のカール・フリーデン(Carl Friden,1891-1945)はスウェーデン生まれで、スウェーデン王立工科大学を卒業。第一次世界大戦(1914-1918)後にアメリカのマーチャント社(Marchant Calculating Machine Company)に入ってチーフエンジニアとして活躍。世界恐慌(1929~)後の1934年にFriden社を設立。機械式計算機、電動機械式計算機、電動タイプライター、ダイレクトメール等の自動印刷機、トランジスタ電卓等の開発を行っていましたが、1965年にシンガー社(Singer Corporation)に買収されました。しかしFridenの名は買収後も電卓のブランドとして1974年ころまで使われたそうです。出典:Wikipedia